静岡市の文化財

第1回 駿府で愛されたお菓子 〜扇子屋と駿府・静岡〜

第1回 駿府で愛されたお菓子 〜扇子屋と駿府・静岡〜

「七ぶら」、大正時代に映画館や様々な商店が建ち並ぶ七間町を散策することを指す言葉として生まれ、長く使われた言葉です。「七ぶら」を楽しみ、扇子屋に立ち寄って菓子を食べたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
江戸、明治、大正、昭和と移りゆく駿府・静岡の町で愛された扇子屋は、もとは江戸進出を目指した近江(滋賀県)商人でした。徳川家康が江戸幕府を開いて100年経つかという貞享・元禄の頃、近江商人庄兵衛は江戸へ向かう途中に立ち寄った駿府で扇子を拾ったことを吉兆として、駿府札之辻町(現七間町)に菓子商「扇子屋」を開きました。以来、扇子屋は、駿府の人々や東海道を行きかう旅人に親しまれました。
平成の初めに惜しまれつつも閉店した扇子屋には、今も往時を振り返ることができる貴重な資料が数多くのこされています。本企画展では、現存する扇子屋のさまざまな資料を通して、皆さんの記憶の片隅にある札之辻、七間町のにぎわいを思い起こしていただければ幸いです。

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