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文化財ブログ

2015.04.02静岡浅間神社保存修理の現場からー古い漆を取り除く、掻き落とし作業が進んでいます!ー

大歳御祖(おおとしみおや)神社本殿の

修理作業が順調に進んでいます。

      

今行われているのは、漆の掻き落とし作業です。

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40年前の修理で施された

漆の厚みが分かりますか?

       

下地から中塗り、上塗りまで、

何度も何度も塗り重ねられた漆を

職人さんが丁寧に掻き落としていきます。

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金具類は、

京都の工房へ持ち帰って修理するため、

取り外します。

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取り除いた金具の裏側に

前回工事で施された鍍金(めっき)が残っていました。

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屋根を支える向拝柱(ごはいばしら)です。

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鉄の楔(くさび)が錆びて、

塗装を劣化させていました。

       

周りの漆を掻き落としてみたところ、

この楔は、割れの入った木材を補強するために

打ちつけられていたことが確認できました。

IMGP4796.JPG

      

おそらく、前々回、

戦前の修理で打ちつけられたものだと思われます。

今回の修理では、この鉄楔を取り除き

別の素材に変更する予定です。

        

ところで、この向拝柱、

材にはケヤキを使用しています。

      

修理工事の設計監理をしている

文化財建造物保存技術協会の担当者によれば、

曲がりの出やすいケヤキを

向拝柱に使う事例は少ないとのことで、

「よほど素性の良いケヤキを選び

 伐採した後、十分にねかしてから使ったのだろう」

とのことです。

        

古い漆の掻き落としが終わった後は、

いよいよ塗り直し作業に入ります。

IMGP2935.JPG

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この文字は、

それぞれの部材をどのように

塗り直していくかを示したものです。

        

「掻合(かきあわせ)」と「本直し」では、

修理方法が異なります。

「本直し」の方が、工程が多くなります。

        

例えば普段から陽のよく当たる箇所は

「本直し」にするといったように、

部材が置かれた環境や現在の状態に配慮して

修理方法を選択していくのです。

        

現場では、

もうしばらく、掻き落としの作業が続きます。

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